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6話
かちっかちっとマウスをクリックする音だけが、たまに聞こえてくるだけで他には何も聞こえてこない。
「………」
画面に映るのは、駅の改札口の部分だ。まだまだ朝は暗いが、駅の中は電気もついているし、画像は粗くてもこれなら、人を特定する事も出来るだろう。映像を一時停止させたむつは、じっと見いっている。まばらではあるが、そこには人が映っている。
「おい…」
「うん。こいつ…」
山上も何かに気付いたのか、むつの顔を覗き込むようにして見た。むつは頷いて見せると、画面に映る1人の人を触るかのように、ぴたっと指差した。
「話は本当なのかも…」
「かもな。むつの情報網もあなどれねぇな」
「…お情けを頂いたのよ。最弱だから」
ふんっと鼻を鳴らしたむつは、腹立つなぁと軽い口調で言ってはいるが、目付きは鋭くなってきていた。