359/1090
6話
「適当に座ってちょっと、待っててくださいね。今お茶いれて、頼まれた物持ってきますから」
そう言った冬四郎はすぐに出ていった。会議室のように、長机の並んでいる部屋は当たり前だが、殺風景で机と椅子の他には何もなかった。
「来客の時ってこういう部屋なの?」
「来客ってより、まぁ…何かしらあっての時は、こういう部屋だな。他に部屋ってないからな。取調室行くのもおかしいだろ?」
「ま、そうよね」
「取調室なんて、行きたくねぇだろ?祐斗は参考に見ておくか?」
「いえ…何の参考にもしたくはないので」
肩をすくめて見せたむつは、手近な椅子を引いて座った。部屋が広くはないからか、長机ではあっても椅子はビジネスチェアのようで、座り心地は悪くなかった。