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6話
「まったく…場所変えましょうか。ここじゃあ…人目が有りすぎますから」
「そうだな。おっさんばっかりの所じゃ俺もむつたちも落ち着かねぇからな」
「特に祐斗が」
何故だか、おどおどした様子の祐斗を見た冬四郎は、哀れむようにやけに優しい笑顔を見せた。目の下に微かに寄ったシワが、疲れを現しているようでもある
「谷代君、ごめんな。山上さんとむつに振り回されてるんだろ?毎回毎回大変だな」
「はい…あ、いえ…そんな…」
「…苦労かけてるね。さ、おいで。お茶くらいなら出してあげられるから」
冬四郎の優しげな笑みに、つられたように祐斗も笑みを浮かべている。それに気付いたむつと山上は、不満げに唇を尖らせた。
「なーんか祐斗にだけ甘い。ずるい」
「ずるいぞー」
「はいはい…行きますよ。ったく…俺はお世話係じゃないんだけどな…湯野さん居ないと、まとまりないな」
「………」
くたびれた様子の冬四郎は、颯介も苦労してるんだなと、つくづく感じると共に、申し訳ない気持ちにもなっていた。