354/1090
6話
山上共々奥に案内されたむつと祐斗は、ソファーに座っていた。むつと山上とは違って、祐斗は居心地が悪そうにしている。それもそのはずだろう。体格も目付きも鋭い男たちが、あちこちに居てちらちらと見ているのだから。
「む、むつさん…」
「んー?」
「何で、そんなに余裕なんすか?」
「社長が余裕な顔してるから平気。それに、人間相手の素手でなら勝てる気もするよ?」
「俺は無理っす…」
「大丈夫。何も悪い事してないもん」
平然として言ってのけるむつだが、勝手に入ってきた事は、悪い事ではないのだろうか。祐斗は早く冬四郎が来ないかと、落ち着きなく待っていた。