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6話
堂々とした姿の山上は、ずかずかと正面玄関から警察署に入っていく。玄関にいた制服警官たちも、それが部外者だとは思わなかったのだろう。誰も止める者は居ない。それに便乗して、むつと祐斗も堂々と入っていった。
「目立ち過ぎると目立たないってわけね」
「逆にって事ですね…」
「勉強になるよねぇ」
しっかりと胸を張って堂々としているむつの隣を歩きながら、祐斗はこんだけ髪の毛が長ければ、部外者だとすぐにバレるのではないかと、はらはらしていた。だが、意外にも止められない。警備体制にも問題があるのではないかと、疑ってしまう程だった。
「…凄いっすね、社長って」
「本領発揮かな?」
にやりと笑ったむつは、澄ました顔で山上についていく。その姿はどう見ても、駆け出しの刑事のようだった。