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6話
「お前はどこに行くんだ?」
「えー…」
「えーじゃねぇよ。どこに行くんだ?どっかに電話してたみたいだしな」
「…お兄ちゃんに電話。颯介さん宅の最寄り駅のカメラ見たいなって」
「見てどうするんだ?」
「凪君映ってるかもしれないし…」
他にも映ってる物があるかもしれないという可能性を、祐斗が居る手前だからかむつは言わなかった。
「お前…湯野ちゃんの弟が、もうこっちに居ないと踏んでるな?何でだ?」
「雪止んだもん、晴れてるよ」
外を指差したむつは、それが理由だと言わんばかりだった。むつの指先を見るように、祐斗と山上は揃って外を見た。
「…あんなに連日、異常気象って騒がれるくらい降ってたのに、ぴったり止んだよ。雪女が居なくなったから、じゃない?」