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6話
「社長、すみませんが今日は…」
「あぁ、むつも家の事で自由に動いてたからな。湯野ちゃんもいいぞ、しばらくは自由に動いてくれ」
お茶で口を潤した颯介は、早々に探しに出たいのか立ち上がっていた。じっとしていられない気持ちは、分からなくもない。むつも祐斗も止めようとはしなかった。山上もさっさと行けと、言わんばかりの様子を見せている。
「もし、こっちに来たら連絡入れるわね」
「あぁ…頼むよ、ごめんね」
「ううん、気を付けてね」
颯介は頷くと、すぐに出ていった。今、来たばかりですぐに出ていく。忙しないが、ゆっくりなどしていられるはずもないのだろう。
むつはそんな颯介の背中を見送ると、自分の携帯を掴んだ。そして、どこかへ電話を始めていた。