345/1090
6話
くだらない話で笑いが生まれ、少しでも雰囲気が変わった頃、廊下を走ってくる足音に気付いた3人は、さっと表情を固くした。
「…社長っ‼」
ばんっとドアが開いて、息を切らせた颯介が入ってきた。日差しはあっても暑いくらいには、なっていないというのに額には汗が浮かんでいる。
「どうした?」
「なっ…凪、来てませんか!?」
「凪君は来てないよ…何かあったの?」
「凪が…起きたら凪が居なくて…探し回ったんだけど、見当たらなくて…心当たりのある場所なんな無いし、昨日行った場所も見てきて…で、もしかしたらって思ったんだけど」
「ここには来てないな」
山上が言うと、颯介はすぐに出て行こうとした。だが、その腕をむつが掴んで引き留めた。
「連絡してみた?」
「したけど…電源入ってないみたいなんだ」
「管狐は?協力してくれないの?」
「………」
「とりあえず落ち着け。祐斗コーヒー…いや、何か違うのがいいな。お茶かなんか頼む」
むつが颯介を無理矢理座らせている間に、祐斗はキッチンに入っていった。