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6話
眼鏡を外したむつは、下瞼を引っ張って山上に目を見せている。山上は少し眉間にシワを寄せて、目を細めるようにして見た。言われてよく見たら、ほんのりと緑がかっているように見える。だが、それは光の加減とかによる物のようにも見える。
「…クォーターか何かだったのか?」
「知らないけど…お兄ちゃんも前にそんな事言ってた。初めて見た時はって」
「それで眼鏡か?」
「うん。それに眼鏡のが真面目っぽくない?印象良さげかなって思ってる」
「…祐斗、どう思う?」
「…喋らなければ、ですね」
パソコンの画面から視線を外した祐斗は、困ったような顔をしてそう言った。言いにくいのであれば、言わなければいいものを。むつの影響なのか、祐斗もだんだん言いたい事を言うようになっていた。