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1話
「何だ、早退したんなら体調悪いだけなんじゃないのか?体調悪ければ、誰だって元気もないだろ?」
西原の言っている事はもっともだと、冬四郎も頷いている。むつと祐斗としても、颯介の体調が悪いだけならいいがと思っている。
むつと祐斗が黙ってしまうと、冬四郎と西原顔を見合わせた。一緒に働いている2人からすると、颯介の体調が悪くて元気がないだけのようには、見えないという事なのだろう。
「体調悪いってより、悩んでる風なんだもん」
拗ねたようにむつが言うと、冬四郎と西原は顔を見合わせた。自分たちが、入る前のよろず屋の事が知りたかったというより、むつも祐斗もただ単に相談相手が欲しかったのだと分かった冬四郎は、表情を和らげた。
「…2人供、湯野さんの事が気になって仕方ないんだね?山上さんが気にしてるから尚更に」
確認をするように冬四郎が聞くと、むつと祐斗は素直に頷いた。西原もそんな2人を見ながら、優しげな表情を見せている。




