339/1090
6話
「…颯介さん遅い。折り返しの電話もない」
「…そうっすね」
時計の針が進むにつれ、むつと祐斗の心配も積み重なっていくのか、2人はほとんど会話もなくなっていた。
「あんまり何回も電話したら迷惑だよね」
「かもしれないっすね。でも…今日って出社日ですよ?湯野さんが続けざまに寝坊なんて…」
「うん。ってか、祐斗は何で居るの?学校は?」
「もう授業ないんすよ。今回は試験も無いのばっかりで、その分レポート試験って感じで」
「…だから、パソコン使ってたんだ?それも、もう終わってるの?」
「後少し…読み返してから、直していこうかと」
「学生は大変ね。バイトしながら、レポートして…特にこんなバイトじゃゆっくりレポートも書けないんじゃない?大丈夫?」
「大丈夫っすよ、むつさんと湯野さんが厳しく見てくれますから…レポートよくなったって言われるくらいで」
「そう?ならいいけど」
そういえば、よろず屋に入る前に颯介がどんな仕事していたのかさえ、聞いた事ないなとむつはふと思い出していた。