6話
「待つのはいいけど…今日もする事ない」
「雪も溶けてきてますからね」
むつと祐斗は、揃って山上の後ろの窓から外を眺めている。人通りもあるし、日差しがさしていて、いい天気にはなりそうだ。その分、雪もあっという間に溶けてしまうだろう。
「雪遊びはもっとしたかったな」
「そうですね。意外と楽しいですし」
「ね、社長‼今度社員旅行しようよ‼」
「はぁ!?どこにだよ…」
「雪と温泉ある所」
「温泉かぁ…雪見しながら露天で一杯…有りだな。どっか安くていい所、あるか?」
意外にも乗り気なのか、山上はパソコンで暇潰しも兼ねて、温泉宿の検索を始めていた。やはり何でもいいからしていないと、落ち着かないのはむつだけではなかった。
「よろず屋だけの旅行した事ないですもんね」
「ないね…祐斗が入る前もそんなの無かったし…遥和さんと知り合ってからだわ、団体旅行したのなんて」
「菜々さんとも最近はないそうですね」
「ないわね。よろず屋入る前は、何とか時間作って行ってたけど…旅行かぁ…菜々とじゃ食い倒れツアーなのよね」
「楽しそうじゃないですか。旅行先ならではの物を食べるのも旅行の醍醐味ですよ」