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6話
「おはようございます」
がちゃっとドアが開くと、むつはそっちを向いた。勢いよく向いたせいか、やや目付きが険しい。そんな顔するな、と言いたかった山上だが、気持ちは分からなくもない。だが入ってきた祐斗は、むつがそんな顔をしている訳が分からず、驚いたような顔をして壁掛けの時計を確認していた。
「…おはよ」
「おはようさん。遅刻じゃねぇよ、気にすんな」
「あ、はい…おはようございます。遅刻じゃないなら、むつさん何でそんな怖い顔してたんですか?」
「………」
「湯野ちゃんが来ねぇんだよ、まだ」
「あ、心配なんですね。凪君も一緒ですし…管狐の調子よくないって事でしょうか?」
「かもな」
山上はそれもあるかもしれないが、ちかげの話が本当なら、颯介自身がより危ないのではないかと気にしていた。だが、むつの前では言わなかった。