6話
「…むつ、ちっとややこしい事になかもしれねぇからな。お前も気を付けろよ」
「気を付ける。特に暴走しないように」
「お前自身だけの暴走なら祐斗でも何とか出来るだろうけどな…能力の方がな。最近はどうだ?日本刀も」
「全く、変化なし。目に見えては…見えない所での変化も特には感じられないけど…分かんない。日本刀は、あれ以来抜いてない」
「報告してくれた時に、元々はお前の先祖が使ってて、そいつを殺した物だったんだろ?そいつも消えて…」
「うん、日本刀持った感じはしっくりきてる。けど、使ってみてないから…でもね、前程重たくは感じない。能力使えなくなってからは、日本刀が重たくて仕方なかったけど」
「能力がちっとは戻ったって事か?」
「それはないと思う。筋肉ついたかな?」
「…日本刀はダンベルがわりか?」
「かもしれない。あたしの中の物…少し変わってきたのかしら?どう思う?」
「さぁな…分からねぇよ、んな事」
「分かってても、教えてくれないくせに」
「自分の事を自分で知るのも大事だ」
「人に言われて気付いて直せる事もある」
「…大丈夫だ、マナーと性格は悪くない」
「顔は?」
「いじらんでよろしい」
くくっと笑った山上は、タバコを吸い終えると、コーヒーのはいったマグカップを片手にキッチンを出ていった。