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6話
ついさっきまで、大きく目を見開いていたというのに、もう鋭さを含んで細められている。普段から目付きは鋭いが、こういう時の鋭さは、普段の比べ物にならないくらいだ。慣れているとは言えど、それが向けられるとなるとむつは少し居心地が悪くなる。それに逃げたくもなる。
「…おい」
「有り得る事だと思う。向こうはさ、雪女と同行している人間の始末を命令されたみたいなの。関わりすぎてるからって」
「妖はともかく…人間もか?湯野ちゃんの弟も殺すつもりでいるって事か?」
「みたい。サポートに付くんだって」
「他には何か聞いたか?」
「………」
少し考えるような仕草をしたむつだったが、電気ポットに残っていた水を捨てて、入れ直すとスイッチを押した。
「あたしらが動いてるの知ってたから。殺さずになんとか…って言ったら、無理だって言ってたけど…どう捉えてたんだろ。あたしが殺さずにどうにかしてって頼んだように捉えてたのかな」