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6話
ちかけが出ていくのと入れ替わるようにして、山上が出社してきた。
「おはよーさん」
何で、あんな話をしに来たのか、彼は何がしたいのだろうか。そんな事を考えていたむつだったが、何故だか段々と腹立たしくなってきていた。言われないと、何も対応が出来ないとでも思われているという事だろうか。確かに言って貰えていたら、何かしら策を練る事は出来る。たが、とむつは考えこんでいて、山上から挨拶されたにも関わらず、返事さえしていなかった。
「むつ、おはよーさん…?」
立ったまま、挨拶もなく徐々に不機嫌そうな怒ったような顔になっていくむつに対して、山上はもう1度声をかけた。
「…おはようございます」
ちっと舌打ちを鳴らしたむつは、山上を見た。山上には理由が分からないが、むつの眉間にはくっきりとシワが寄っている。
「お?何だよ、ご機嫌斜めか?」
「…ちょーご機嫌斜めよ‼」
ふんっと鼻を鳴らしたむつは、ばしんっと窓を閉めた。