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6話
「…今回ばかりは目的が同じじゃないのか?雪女の事で動くんだと思ってたが」
「殺さないわよ」
「お前襲われた側だろ?それでもか…」
「どうにか出来るなら…」
「無理だな。雪女たちはともかく、あの時の雪女は…もうダメだと思うぞ。それにあの人間。関わりすぎているからな」
「…殺すの?」
「命令が出てる」
「………」
ちかげはゆっくりとした動作で立ち上がると、頬杖をついてうつ向くむつをじっと見た。
「…何で、そんな事…言うの?」
「…何でだろうな。伝えといた方がいい気がしたんだ。だから、ここまで来た」
「ありがと…気を付けるよ」
「あぁ、気を付けてくれ…そろそろ誰か来そうだな。帰る」
まだ明るいうちから顔をさらしておく事が嫌なのか、ちかげはそう言うと出ていこうとした。
「…ちか」
「会いたくないな、仕事では」
むつが引き留めようとするのも無視するかのように、ちかげは歩き出した。そして、音もなくドアを開けると出ていった。