6話
「…歓迎してくれるなら」
「しないわよ。特にあたし以外が」
むつの素っ気ない言い様も気にしないのか、ソファーにはいつの間にかゆったりと腰掛けている男が居る。
「だから、早い時間なんだ」
「で、ちゃんと顔も見せてくれると。コーヒーいれてくるから待ってて」
「いや、そろそろ誰か来るだろ?だから話だけで。むつ、ここに依頼来たんだな?」
むつはソファーの背もたれの部分に肘をおいて、頬杖をつくようにして、ついこの前危険から救ってくれた男の顔を見た。
「…来たよ。あの時、一緒に居るのは人?って聞いたよね?その時には、もう知ってた?居たのが誰だったか」
「知ってた。人を襲うようになった雪女を人間が連れて、こっちに向かってるのは情報として入ってた。ただ、こっちに来てから、それが誰かを知ったけどな」
「そう…何で黙ってたの?」
「お前の仲間が関係してくる事だから…本人から…本人も知らなかったのかもしれないけどな。俺から聞くよりはましかと思ってな」
「お気遣いどうも」
「怒るなよ。悪かったな…俺、この件ではサポートにつく事になった」
「敵対するんだね」
悲しげなむつの言い様に、ちかげはゆっくりとむつを振り返った。