1話
「そうなんだ…ほら、うちってさ祐斗と社長入れても4人でしょ?なのに、机だけは6人分もあるし。だから、昔は人も多かったのかなって思ってさ」
「そうなんですよ。それに、俺もむつさんも、入る前の事って全然知らなくて…」
「…何だってまた急にそんな事が気になりだしたんだ?そんなに暇なのか?」
西原のちゃかすような言いぐさに、むっとしたようなむつと祐斗だったが、暇なのは否定出来ない。だから、汗をかくほどに筋トレしていたのだから。
「うーん…どうする?話す?」
「まぁ話してもいいんじゃないですか?」
むつと祐斗は顔を見合わせて、何で気になったのか、その理由の根本を言ってもいいのかと悩んだ。だが、仕事の事でもないし、特に社内機密的な事でもない。まぁいいか、と2人は頷き合った。
「最近ね、颯介さん元気ないの。社長も気にしててさ…だから、今日はうちで3人で鍋でもって誘ったんだけど断られちゃって」
「たから、元気ないのは失恋でもしたのかって話になったんですけど…」
「湯野さん、恋人居たのか?」
意外だと言いたげな冬四郎に向かって、むつも祐斗も知らないと首を傾げるしかなかった。




