6話
「まぁ…好きなら好きでいいんじゃないか?でもな、なるべく…そういう話は聞きたくないな。一緒に寝たとか…」
ちょこんっとベッドに座っているむつの横に腰を下ろした冬四郎は、やや困ったような顔をしていた。
「…お兄ちゃんだし?」
「まぁ…それもある」
他にも何かありそうな言い方ではあったが、冬四郎は口を閉ざしたままだった。
「何でもいい。もう寝るぞ」
「え?結局寝るの?まだ眠くないみたいな感じしてたくせに?」
「…お前に起こされるの嫌だ。俺は意外と朝弱いんだからな」
「うん、知ってる。意外過ぎたもん。ね、朝…ってか寝起きがよくない意外に何が苦手なの?」
「苦手な物か…害虫ってやつは苦手だし、後は…兄貴?」
「…たまーに仲悪いもんね。何で?」
「考え方の違いだろ。特に仕事とかな。なぁもういいだろ?寝るぞ。電気消すからな、おやすみ」
「えっ、ちょっと…」
やけに何かと聞いてくるむつから逃げる為か、冬四郎は電気を消すとさっさと布団に潜った。むつは、ふんっと悔しそうに鼻を鳴らすと、遠慮なく冬四郎のベッドで横になった。枕からも布団からも冬四郎の匂いがしていて、疲れてもいたむつは心地よく、あっという間に眠りについた。