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6話
「ほら、むつ…携帯いじるにしても、そろそろベッド行けよ。冷えるぞ?」
「お兄ちゃんは?」
「布団」
「じゃなくて、まだテレビ観るの?」
「…俺もそっち行くから」
寝るにはまだ少し早いが冬四郎は、さっさとテレビを消すと、むつを寝室に追いやってダイニングの電気を消した。
「お前、甘ったれか?」
「そうなの。寒いからかな?」
「西原君呼んでやろうか?」
「…昨日会った。んで、皆でお泊まりしたから、先輩と布団で一緒に寝た」
「…ほぉ。寄り戻ったのか?」
「ううん…」
首を傾げるむつの口元には、少し笑みが浮かんでいる。それに恥ずかしそうにしている様子からして、何かしらの進展はあったのだろう。冬四郎にはそう見えた。