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6話
「…お兄ちゃんってね、他のお兄ちゃんたちとってどんな話するの?」
「は?何を急に…」
「何か気になったの。あたしが来る前とか…あたし居ない時とかって、どんな話するのかなーって」
「どんな話って…昔なら、学校の事とか?中学の途中からは、何でもかんでも話したりはしてなかったと思うし。今なら…特に…でも会話してるな。覚えてないくらい他愛のない話だろうな」
「そうだよね。他愛のない会話でもするよね」
「…また湯野さん兄弟の事か?」
「うん…10年ぶりくらいなんだって会うの。それに、お母さんが違うって…家督は弟さんだし…」
「10年も会ってなきゃ、会話も難しいかもな。だいぶ歳の差もあるだろ?お互いに気使って当たり前だろ。でも会ってない時間は意外とすぐに埋まるだろうよ。昔から仲悪かったんなら別だろうけどな」
「…かな?」
「心配しすぎだ。早く髪の毛乾かせ」
「………」
面倒くさいと言っていたむつは、ドライヤーと冬四郎を交互に見た。そんなむつに気付きながら、冬四郎はむつの方を見ようともしない。
「やってやらないからな」
「けーちっ‼」