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6話
ふふっと笑ったむつは、そのままごろんっと横になった。床にはカーペットが敷いてあるが、床の冷たさが伝わってくる。だが、シャワーで暖まっているから、寒さは感じなかった。
「湯冷めするだろ。髪の毛も乾かせ」
「うん…ドライヤー持ってきて」
動く気がないのか、むつは寝転んだままで手を伸ばしている。そんな妹の為に、冬四郎はドライヤーを持ってきて親切にも、コンセントに差してすぐに使えるようにしてから、むつの前に置いた。
「ありがと…お兄ちゃんってさ、誰に言われてもこうやってする?それとも…」
「お前だけだ。こんな事言ってくるのは」
「歴代の彼女は?」
「…聞くな。西原君との事聞くぞ?」
それはやだと言ったむつは、大人しく長居髪の毛に熱風をあて始めた。