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6話
寝巻きと着替えを持ってすぐに、冬四郎の部屋に戻ってきたむつは、すっかりくつろいだ様子で、風呂に向かっていった。よほど上機嫌なのか、風呂場からはむつの鼻歌が聞こえてくる。珍しい事だと思いつつ、冬四郎はベッドの横に布団を敷いといた。
風呂から出てきたむつは、がしがしと髪の毛を拭きながら戻ってきた。しっかりと暖まったのか、頬が赤くなっていた。
「…お前は何しに来たんだ?」
「だからさ、何か…比べるのって失礼な事だけど、颯介さんの所とうちだと…あたしって恵まれてるなって」
「比べるのは失礼だな。でも…嫌な事だけど、比べるから自分が幸せだ、不幸だって感じるもんでもあるからな」
「うん…あたしは困った時はすぐにお兄ちゃんに頼れるからね。いっぱい居るから、お兄ちゃん選び放題」
「それもそうだな…4人も居たら必要に応じて、変えれるからな」
「…頼れるお兄ちゃんいっぱいで幸せだ」