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6話
「朝?朝なんかしてたのか?」
「…してました。羨ましくなるくらいお似合いですよ?あんだけ真剣に思ってくれる人、なかなか居ないと思いますし西原さんでいいんじゃないですか?」
「…祐斗は先輩の味方?」
「じゃなくて、むつさんだって…好き、なんですよね?西原さんが」
「え、えっと…あー…」
「でも、誰よりも好きなのはみやなんだと」
「えーっ‼」
「ちょ、ちょっと…社長!!何で言うの‼」
「むつさん、やっぱり宮前さんの事って今でも好きだったんですね。だったら、何で西原さんと…」
「…諦めきれねぇんだよ」
山上はビールを一口呑むと、意外と優しげな顔をした。むつの気持ちが、よく分かる。そんな顔をしている。
「祐斗もこの前の事、聞いてるだろ?むつは、きっとご両親が自分の事をどう思ってるのかも痛いくらいに知ったんだと思うぞ。だから宮前さんの子供で居る事も親孝行になる、そう言ってたからな」
「…そうなんですか?」