6話
「まぁ湯野ちゃんの事は湯野ちゃんに聞けよ。俺が聞いた事あるのは、弟が居て病弱だって事くらいだな。それも、べろべろに酔ってた時で…それ以上の家族の話って聞いた事ねぇんだよ」
「彼女居るとかは?」
「無いな。だから、雪女の顔がタイプじゃないって言った時には驚いた。まじで。女に興味持つのか、ってな」
「持たなそうよね。社長はすーぐ、あ、可愛い子居る‼とかって言うけど。颯介さんからは聞いた事ないわね」
「ないっすね。でも、だからって女の人が嫌いな訳じゃないと思いますけど…」
「そうだよね?だったら、一緒に仕事なんてしてくれないもんね」
「いや、むつさんは…」
「女の子!!颯介さんだけよ?あ、新しい服?アイシャドーの色変えたね?って気付いてくれるの」
「まじかよ…湯野ちゃんよく見てるな」
「みたいっすね。俺なんて全然気付きもしないっすよ。コートくらいは分かりましたけど」
「颯介さんは女心分かってるのよ、紳士だもん」
まるで、祐斗と山上がそうではないような言い方だったが、もれなくそうではないのかもしれなかった。だからなのか、2人とも何も言わずにジョッキを空にしておかわりを頼んでいた。