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1話
宮前さんと呼ばれた男、西原より少し年上の宮前冬四郎は曖昧に首を傾げた。会いたい、会いたくないという問題ではないのかもしれない。
「…もしかして、何かに巻き込まれて連絡寄越したんじゃないかって思うからな。この前の事もあるし、何かとな」
「そんな感じだったんですか?」
「もっと軽い感じだったな。でも、西原君も一緒の方がいいかって聞いたら、即答でうんって言ってたからな。何かあったか…」
単純に西原君と会いたかったか。冬四郎は、それを言いかけたが、それは無いなと即座に否定した。
「でも、そうですか。俺と宮前さん揃うと…仕事絡んで来そうですよね」
浮かれ気味だった西原だったが、すぐに表情を引き締めた。冬四郎は、そんな真面目さのある西原の横顔を見ながら、とりあえずむつと会えば分かるか、と深くは考えないようにしつつ、よろず屋へと急いだ。




