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1話
そんな風にして2人が動いている事など、知るはずもない呼び出された2人組みは、よろず屋の事務所のあるビルの近くの駐車場に車を止めると、足早にビルに向かっていた。2人の男のどちらもが、がっちりとした身体つきをしている。
「…何だって、むつに呼び出されたんですか?」
「さぁな。あぁ、こんなに寒いのにわざわざ呼び出すなんて…しかも送れって、あいつは何考えてんだかな」
口ではそうは言っていても、そこまで迷惑に思っていないくせに。と、眼鏡を欠けている男は内心思ったが、口には出さなかった。
「…西原君、悪いな。折角の休みだってのに、俺の仕事に付き合わせたあげくに引っ張り回して」
西原君と呼ばれた眼鏡の男、西原駿樹は全然そんな事はないと首を振った。むしろ、西原にとっては思わぬラッキーだった。
「…どんな理由であれ、むつに会えてラッキーって顔か?西原君はいいな、純粋で」
「宮前さんは会いたくなかったですか?」




