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1話
むつと祐斗はストレッチから筋トレに移ると、暑くなってきたのか2人とも上着を脱いで、額にはうっすらと汗さえかいていた。
「暖房、下げますよ?」
「お願いするーっ。流石に暑いわね」
セーターを脱いで、シャツのボタンも外して腕を捲っているむつは、ソファーに足を乗せて床に寝転び、ゆっくりと腹筋をしている。インナーマッスルを鍛えるのだと、スロートレーニングをしているようだった。祐斗は、腕をぷるぷるさせながらも腕立て伏せを行っている。
ほとんど会話はなく、2人とも事務所には何しに来ているのかよく分からない事になっている。だが、する事がないよりはマシと、2人はそれぞれ黙々とトレーニングをしていた。
身体がすっかり暖まると、エンジンがかかってきたかのように、むつはのびのびと身体を動かしている。むしろ、動き足りなくて、これからがといった所なのだろうか。だが、祐斗は疲れ気味なようで筋トレからストレッチに戻していた。




