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1話
「湯野さん、何か言ってましたか?」
「ううん。全く…下まで送ってきたけど、何か元気ない…何か、落ち込んでるみたいな感じの後ろ姿だった」
「そうっすか…社長も気にしてましたね。湯野さんが元気ないのは珍しいって」
「失恋でもしたのかしら?」
「…彼女居たんすか?」
「さぁ?あたし…颯介さんとは一緒に働いてきたけど…颯介さんの事ってあんまり知らないのよ。ってか、聞いても教えてくれないの」
「むつさんと湯野さんって、ここで働き始めたのはどっちが先なんすか?」
「颯介さんだよ。あたしだって…入ってどのくらいだろ?3年かな?祐斗が1年半くらいだっけ?」
「そんなもんです…よろず屋っていつから、あるんすか?最初って社長だけっすか?」
「…さぁ?聞いてみよっか。気になってきた」
さっと立ち上がると、むつは机に置いてある携帯を持った。そして、すっかり冷たくなっているコーヒーを祐斗の分も持って戻ってきた。




