4話
片付けが済むと本当にする事がない。むつは洗濯やらをしたいとは思うが、雪降りで干す事は出来ない。室内に干してもいいが、流石に3人も男が入るとそうもいかない。仕方ないからか、ごろんっと寝転んで祐斗を相手に、テレビを見ながら、あれがどうとかと話をしていた。時折、山上が会話に混じる事はあっても、颯介は黙ったままだった。だが、むつもだが祐斗も山上も、颯介を気遣うような事は何も言わない。そっとしておいて欲しい時があるというのは、よくよく分かっていたからだ。
「…ん、誰か携帯鳴ってないか?」
山上がそう言うと、祐斗と颯介は携帯を見たが、違うと首を振っていた。なら、むつという事だが、むつは携帯をどこに置いたのか分からないと、探し回っていた。
「あいつの、携帯不携帯さどうにかしろ」
「無理ですよ」
颯介が笑うと、山上もそうだなと呟いた。携帯、どこだっけとむつは鞄の中やらコートのポケットやらを確認し、ようやく見つけ出した。
「あったーっ‼あ、何だ…無事に出勤したって」
「何だよ、西原からか…」
「うん。危ないからね、ちゃんと着いたら連絡してねって言っておいたから」
「…何だよ、お前らのらぶらぶ加減は」
「…普通じゃない?これが、お兄ちゃんでも、祐斗でも同じ様にしてね、って言うよ?」
「だろうな。お前は、連絡しろって言われてもしないだろうけどな」
「えへへっ」
笑ったむつは、手早く西原に返事を返すと携帯を床の上に置いた。