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4話
むつは西原を見送ると、部屋を出ていった。駐車場まで行ったのか、戻ってきたむつは、寒い寒いと言って歯をかちかちと鳴らしていた。
「…玄関まででいいだろ、見送りなんて」
山上が呆れながら言うと、むつはマグカップを両手で持ってふぅふぅしながら笑っていた。その顔が、あまりにも自然体で、こちらまでつられて笑顔になりそうな笑みだった。
「そうかもしれないけど…ついでに雪どうかなって思ってさ。真っ白だよ、車すぐには動かせないわね」
「そ、そんなにか…?」
「うん…夜も降ったんだろうね。全然、気付かなかったや」
「…帰るのも一苦労だな。昼頃まで、居てもいいか?朝のうちは、危ないかもしれないな」
「全然いいよ。こんな時だしゆっくりしよ。颯介さん、シャワー浴びる?」
「いや…いいよ。ありがとう」
「ん、分かった」
むつが食事の片付けを始めると、する事がなく落ち着けないのか、祐斗が洗い物をすると言って始めた。むつはそれならと洗い物を任せて、テーブルを拭いたり残った物はタッパーに入れて冷蔵庫にしまったりとしていた。