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4話
寝袋を転がされて起こされた祐斗と、布団を剥ぎ取られて起こされた山上さ少し不機嫌そうにしていた。だが、むつが朝食を並べると、すぐに機嫌は直ったようだった。
「湯野ちゃん…大丈夫か?手加減してないから、痛かっただろ?悪かったよ」
「え、あ…はい…痛いですよ、まだ少し」
さっきは大丈夫だと言っていたが、やはり痛みは残っているようだった。だが、さほど気にしてないのか颯介の表情には、山上を恨むような気持ちは現れていない。
「だよな…悪かった、本当に悪かった」
「いえ…」
どことなくぎくしゃくした雰囲気に、むつと祐斗は顔を見合わせた、この変な雰囲気仁どうしてなるのか、むつには分からなかった。山上が話してないだけで、2人の間で何かあったのかもしれない。
「先輩、おかわりする?」
「…食べ過ぎると動けなくなるからやめとく。それより、お茶貰っていいか?そろそろ出る支度しないとだ」
「あ、はーいっ。もうそんな時間なのね」
時刻を確認したむつは、お茶を淹れ直して少し寂しそうな顔をしていた。それにめざとくも気付いたのは、意外にも山上だけじゃなかった。