4話
颯介が座ると、管狐がすぐに甘えるようにしてすり寄って行った。何となく寂しい気分になった西原だったが、人形を玩具にされずに済む事には安堵した。
「はい…お腹はどう?社長に殴られたんでしょ?かなり痛かったんじゃない?」
「あぁ…大丈夫、かな?」
「そう、なら良かった。仕返しは管狐がしてくれたみたいよ?社長の手傷だらけなの」
いい気味だとむつは、くつくつと笑っていた。だが、颯介はそんな風には笑えずに居た。だからといって、管狐を叱るような事もない。ただ、申し訳なさそうにしている。
「…後ね、昨日管狐の来たの。弟さん近くに居るのかしら?」
言うか否か、むつは悩んだようだったが、祐斗も山上もまだ寝ているうちにと颯介に伝えた。すると、颯介は驚いたように目を見開いた。
「ほ…本当かい?」
「うん…尻尾の毛先の白い子。弟さんもやっぱり管狐持ち、なんだ?」
「あ、あぁ…まぁ…そうだね」
「そっか…」
「それで来ただけかい?」
「うん、捕まえてみたけど逃げちゃったし。颯介さんの子も特には気にしてない感じだったわよ」
「そうか…」
「ま、とりあえずご飯にしよ。颯介さん起き抜けだけど少しは食べてね。先輩、祐斗と社長起こして」
「はいはい、祐斗くーん起きろー」
面倒くさそうに西原は、寝袋の祐斗をそのまんまころんっと転がして遊んでいた。