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4話
顔を洗い歯を磨いてきたむつは、すぐに朝ご飯の支度に取りかかっていた。肩の上に居た管狐だったが、むつが遊んではくれないからから、西原の側に居た。西原も特にする事がないからか、管狐を撫でてやったりしながら、キッチンに居るむつを眺めていた。
やはり寒さのせいで人肌恋しいのだろうか。むつの方も満更ではなさそうだった。それだけでも、西原にとっては幸せすぎる事だ。山上の言う通り、自分は強運なのかもしれない。そんな事を思っていた。
「なぁにをにやにやしてんの?変なの」
「むつを見てると楽しいからな」
「…あたしゃ玩具か」
「まぁある意味な。見てて飽きない」
「あっそ…そんな事より、人形がキッチンに居たわよ。ったく、あんた…何でお鍋の中に居たのよ?乾いてたからいいものの…」
手を拭いたむつは、ぺらぺらとした白い紙を西原に見せた。すると、管狐がぴくんっと反応した。