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4話
「…っん」
鼻から漏れるような声が微かにすると、西原はやり過ぎたかもと思っていた。だが、ここまでしてもむつが逃げないとなると、これ以上したくもなる。
布団から出てまだ暖房もつけていない室内は寒いはずなのに、西原の身体は体温が上がってきていた。それと同時に、一ヶ所に血液が集まるようで心臓も、どくどくと脈打っている。
「…ごめん」
服から手を抜いた西原は、むつの肩に額をくっつけた。そこには管狐がおり、慌てて反対側の肩へと移動していた。
「おばか」
意地悪そうに笑ったむつは、西原の太ももをぱちんっと叩いた。うわっと焦った西原だったが、そこまで痛くはなかった。
「後少しずれてたら大変な事になるだろ」
「戒めだと思いなさい」
ぴしゃりと言われ、やり過ぎたのかと反省はしたが、やはりまた触りたくなる。そろっと手を伸ばすと、むつは優しげな笑みを浮かべつつ、西原の手の甲をぎゅっとつねりあげた。
「…すみません」
「分かればよろしい」