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4話
むつは少し首を傾げてから、じゃれつくようにして西原の顎を甘噛みした。じゃりっとした髭をが、何となく心地よくも思えた。
「…んなとこ噛むなよ」
ふふっと笑ったむつは、西原の下唇を甘噛みして離れた。すると、西原が尚も顔を近付けてきた。どうにも収まりがつかない。そんな感じだったが、むつはその顔を手で押さえた。
「…むつ」
「…朝ご飯の支度しなきゃ。呑んでるんだから、消化のいいものがいいよね」
「お前…なぁ…」
はぁとがっかりしたような西原だったが、むつの顔を持ち上げて、わざとらしくちゅうっと音を立ててキスをした。
「恥ずかしくなったんだろ?可愛いやつだな」
「…少しは恥じらいを持てって言ったくせに」
「全裸で居られたらそりゃあ困るだろ?俺も男だし。それで何にもしないでって無理だからな」
そろっと西原の手が、服の下から入ってきて脇腹を撫でてゆっくり上にあがってくる。