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4話
「何でだろうな?寒いから俺も人肌恋しいのかもしれないな…むつ…」
西原が身を屈めて近付くと、むつは驚いたように、きょろきょろと辺りを見回した。起きているのは、管狐だけで祐斗も山上もまだ眠っているようだ。
「…嫌じゃないか?」
「それ、聞く…?」
「…悪かった」
暖かい西原の手が、むつの頬に触れて少し上を向かせた。そして、ほんの少し触れるだけのキスをした。1度離れた西原だったが、再び顔を近付けると今度は1度目よりも長く唇を重ね合わせていた。
「…好きだ」
「うん…今度、ちゃんと話するね。今は出来ないけど…本当に、本当にするからっ…だから…」
「その時は、むつの気持ちも聞けるか?」
「…たぶん」
「…それは、いつでもいいや。今は」
西原がそっと唇を重ねると、むつは頬に添えられている手に、自分の手を重ねた。
「今、こうしていれるだけでも幸せだしな」
「………」