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4話
ふぁふぁと欠伸をしながら、手を洗ったむつは、冷たさにあっという間に目が覚めた気がした。手早く米を洗い炊飯器にセットすると、冷蔵庫を開けた。何を作ろうかと悩んでいると、するすると背中をのぼってくる感触がした。
「管狐、おはよ…よく寝れた?」
肩にのぼった管狐は、甘えるようにしてむつに頬を擦り寄せた。冬毛のふかりとした毛は、柔らかくて暖かい。むつも頬を押し付けるようにして、よしよしと額を撫でてやった。
「…管狐が居るなら、颯介さんも居るわね」
夜中に起き出した気配もなかったしと、むつはほっとしたような顔をしていた。
とりあえず、とお湯を沸かしている間に、むつは換気扇の下でタバコを吸い始めた。