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4話
むくっと起きた山上は、颯介が寝ている部屋を見た。欠伸をしていたが、まだ寝付けそうにはないのかもしれない。祐斗の方は、起きているのも限界だったのか、ほとんど眠りに落ちている。
「…そんなに湯野さん…何の為に?」
「分からない。むつは何かしら気付いた事があるかもしれないけどな…あの管狐も気になる」
「…何にも言ってませんでしたよ?」
「むつはある程度の確信がなかったら言わないからな…そうだろ?」
もしかしたら、風呂場での会話を聞いていたのかもしれないと、西原は思った。だが、どんな事であっても確信もなしに言ったりはしないのは本当の事だ。
「お前も中途半端にするなよ。はぐらかしたりしないで…むつが言ってきた時は」
「…お節介ですよ」
「だな。でもなぁ…むつの事はどうにもな…晃とみやの妹なのもそうだけど」
他にも何かあるような言い方に、西原は山上をじっと見た。だが、山上はそれ以上は何も言わない。山上は何かしら、むつの事を知っているのかもしれなかった。