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4話
山上に言われ、むつと西原が布団。寝袋で祐斗と決まるとテーブルを端に寄せて、ソファーの背もたれを倒したむつは、寝室のクローゼットを開けて、布団と寝袋を取り出した。その際に、颯介の顔を覗きこんでみたが、本当に眠っているだけのようで、規則正しい寝息がしていた。
「…颯介さん、おやすみなさい」
小さな声で言ったむつは、静かに部屋から出た。そして、リビングに布団を敷いて寝る準備を始めた。
「むつがソファーでもいいけどな。おっさんとおっさんが布団なんて、悲しい事になるからな」
「…社長とお布団でもいいよ?」
「有りだな。でも、晃とみやから冷たい目をされる事になるのは嫌だ」
「黙ってたら分からないのに?」
「いいから、西原と寝ろよ。そっちのが、むつだって休めるだろ?」
「…そうかも」
少し恥ずかしそうにうつ向いたむつだったが、口元にはうっすらと笑みが浮かんでいた。何でこんなに後押ししてやらなきゃならないんだ、と山上は思った。だが、それもいいかなと思えるくらい、むつと西原の気持ちは純粋なのかもしれなかった。