4話
「かなりの力業だったのかしらね?」
むつは残ったご飯で、焼おにぎりにしていたのか、それを持ってくると半分に割って管狐の方に差し出した。
「だろうな。山上さんが手加減するなんて、無いだろうからな…下手に加減した方が危ないしな」
「ふーん…でも、お腹は…痛いのよね」
誰かにされた覚えでもあったのか、むつは腹をさすっていた。顔を突っ込むようにして、焼おにぎりを食べる管狐を見ながら、そんな力業だったのなら、怒り狂うのも当然だなと思っていた。だが、そうまでして颯介を押さえ付けておかなくてはならないと、山上は判断したという事だろう。それを思うと、颯介の様子はよほどだったという事だ。普段の颯介からは、それこそ想像がつかないなとむつは思っていた。
「…ん?」
管狐に焼おにぎりをあげていたむつは、隣に座った西原がその手元を見ている事に気付いて、ようやく顔をあげた。
「…人が食べてるの欲しくなるんでしょ?管狐に貰ってもいいか聞いて」
「なぁ管狐?半分貰っていいか?」
焼おにぎりから顔を出した管狐は、こくりと頷いた。管狐でも1つ丸々は、食べれないのかもしれない。西原はむつが持っていた半分を貰うと、嬉しそうにかぶりついていた。