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4話
「あ、管狐…出てきましたよ」
何度も管狐、管狐と呼ばれていたからか、寝室の方から管狐からするっと出てきた。それに気付いた祐斗だったが、先程の事がある。本物なのかと疑うような目で、管狐を見ていた。
「こっちは颯介さんの子よ」
ぱちんっとむつに頭を叩かれた祐斗は、何でそれがすぐに分かるのかと、山上と一緒になって理由を求めた。
「もう…怖がらせないの。おいで」
ソファーに座ったむつが、手を見せると管狐はとことことやってきて、むつの足の上にちょこんっと座った。むつはその管狐を抱き上げて、祐斗と山上に尻尾を見せた。
「尻尾の先がね、颯介さんの子は黒いの。あっちのは白かったでしょ?」
「…あ、毛先黒いな」
「黒いですね。でも、さっきの白かったですか?全然、そこまで見てなかったんで…」
「白かったわよ。観察力ないわね…本当に、ねぇ管狐。祐斗ダメダメだよね」
管狐はちらっと祐斗の方を見たが、何とも言えないなのか、すぐにむつに視線を戻した。