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4話
「空き瓶…あったかしら?」
結局、捕まえたものの、どうするか決められず山上の言うように瓶に入れておく事にしたのか、むつはキッチンの方を見た。
「ワインボトルでいいんじゃないか?」
空になったのか、西原がワインボトルを見せると、管狐はそろそろと首を伸ばしてむつの指に噛みついた。
「いっ‼」
「あ‼おい‼逃がすな‼」
痛みにむつが手を離すと、管狐はさっと床に降りて這うようにしてリビングから出ていこうとする。逃がすなと山上に言われ、祐斗、西原が手を伸ばしたが、管狐は素早く逃げていく。一般的な動物ではないから、ドアが閉まっていようと何の問題もない。ほんの僅かな隙間から、ドアを抜けて行った。
逃がすまいと、むつは祐斗と西原の間を抜けてリビングのドアを開けたが、管狐はすでに玄関のドアを抜けて行く所だった。最後に尻尾だけが見えていたが、追いかけても捕まえる事は出来そうにもなかった。