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4話
「むつ、そいつは本当に湯野ちゃんの管狐じゃないのか?」
「違う。だって、ぶっさいくだもん。それに、颯介さんの管狐が食べる?って聞いて首傾げるわけないし、何より尻尾が違うもん」
山上はむつの隣に立つと、管狐の尻尾を持った。尻尾を見てから、管狐の顔を見た。
「不細工じゃないだろうけど…」
「どうする?この子」
「害獣として瓶にでも入れとけ。明日、保健所にでも持っていけばいいだろ」
「…瓶で閉じ込めておけるの?」
「無理だろうな」
あっさりと山上は言うと、じろじろと管狐を見た。管狐は、自分がこれからどんな目に遇わされるのか不安にでもなったのか、おどおどとして辺りを見ている。だが、ここには助けてくれる人は居そうにない。