4話
祐斗、山上、西原がゆっくり呑んでいるのを見ながら、むつは手早く料理をしていく。3人がゆっくり呑んでいるのは、やはり何かあった時に動けるようにとの事なんだろう。むつはそう思いながら、その3人にバランスのいい食事をと考えながら作っていった。
「…社長、本当に何も起きないと思いますか?湯野さんの様子も、むつさんが狙われた事も…」
「同じ妖が来る事はねぇよ。むつがそう断言したからな」
「………」
「ちか、とか言ったな?あの男…あの男の能力をむつは怖いくらいだと言ってた。そいつが、大人しくさせた妖なら今日は動く事も出来ねぇだろうってよ」
「確かに…かなり強力みたいですね。俺も1回だけ、見た事があります…どんな浮遊霊でもまとめて…」
「そうか…まぁ、それなら今夜は身体を休めるのが1番だな。湯野ちゃんは…まぁ起きてから考えればいい。何事も身体が大事だ」
「そうそう。休める時に休まないとな。に、しても今日は本当にラッキーだ。むつの所に泊まれて、飯も食えて」
「西原さん、暢気すぎます」
「そうか?まぁいいじゃんか」
「西原は強運だからな。祐斗、こいつな刑事になってすぐの時に、犯人追いかけてって犯人と揉み合った結果、階段から落ちたんだ。犯人と一緒にな。でもな落ちた先に共犯者が居てよ。そいつが、まさかの全国指名手配犯で…ラッキーにも2人同時に逮捕ってわけだ」
「えー‼」
「いや、あの時はびっくりしましたよ」
陽気に笑う西原は、ビールの呑みながらむつが作って出した卵サラダに箸を伸ばして、美味しそうに頬張っていた。