4話
「ばかたれ」
「もう呑もっか?」
「…何も起きないと思うか?」
「勿論。ちかの鈴の力、よぅく知ってるもん。しばらく…あの辺りの妖は動けないわね」
ふっと暗い笑みを浮かべたむつを、山上はまじまじと見ていた。そして、なら呑むかと言った。むつは冷蔵庫から缶ビールを出し、何かアテにとタッパーも取り出した。小鉢に煮物を入れて、テーブルに並べた。
「お前まめったいよな…」
「そう?時間ある時に作ってみたおくだけよ?」
「…で、そいつの力ってのはそんなに強いのか?前に、むつが拐われた時に少し会ったけど、そんな風には見えなかったぞ」
「かなり強いわよ。沈静化っていうのかな?落ち着かせるだけじゃないもの。そのまま、目を開けられなくなる事も…出来る」
「それって…安楽死みたいなやつか?」
「そんな感じ。浮遊霊だけなら、1回で数百単位で片付けるわよ。攻撃的な能力じゃないなんて言うけど…」
「意外と恐ろしいのと同棲してたんだな」
「そうね。能力もだけど…同棲してたらさ、食費がかかって仕方なかったわよ」
「………」
「もうね、お米一升炊いても間に合わないって感じ?あんだけ食べて太らないんだもん、怖かったわ」
「西原にしとけ。あいつは普通だ」