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3話
ばんっと西原がドアを開けると、山上は興味津々といった顔で、祐斗はそんな山上を引き剥がそうとしながら頬を赤くしている。
「…いいよなぁ青春ってやつか?なぁ祐斗。お前らさっさと付き合えよな」
「むつの準備が整うのを待ってるんです」
「ふぅん?祐斗の話じゃ、むつ…むつ?」
「…社長、あたしの後で嫌じゃなかったらお風呂どうぞ。お湯、まだ暖かいよ」
むつは髪の毛から落ちる滴をぬぐいながら、タオルと着替えを持ってくると山上に押し付けるようにして渡した。そして、さっさとリビングに入っていった。
「…まぁむつの後は嫌じゃないけど…誰の服なんだ?それに何か様子が…西原?」
「…宮前さんの服じゃないですか?むつ、疲れてるんですよ」
「そうか?むーつー、風呂借りるな」
ドアの向こうから、微かに返事があったが、それは微かすぎて本当に返事があったのか疑わしいくらいだった。