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3話
「落ち着いたら話すっていうのは、それも含めての事だったの。先輩に話すかは分からなかったけど…自分の中で落ち着いてからって思ってて。酒井さんか遥和さんなら知ってるはずだし…でもさ、聞きたくないのよね。人じゃなかったら、あたしは何なんだろうね」
「…むつ?」
風呂を出たばかりのむつが、ぐずっと鼻を鳴らすと、西原は狼狽えた。慌てたように振り向くと、見覚えのあるもこもことしたフリース姿だった。
「お前…湯野さんより秘密主義すぎる」
「かもね」
「…言ったよな?人と妖が一緒に居てもいいって。むつが人じゃないとしても、一緒に居れなくなる理由にはならないだろ?それに確認出来てない事だろ?確証もなしに言うなよ」
「確証が持てたら…」
「そしたら教えてくれ」
「…その後は?」
「うーん…今更だよな、それこそ。能力ある時点で、人離れしてんだから…むしろ、どうして欲しいんだ?」