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1話
「…寒いし、今日は社長休みですし、明日も仕事の予定はありませんから、むつさんの家で皆で鍋しませんかって話ですよ」
「ちょっと呑みすぎても大丈夫だし、そのまんまお泊まりしない?って話よ」
祐斗に続いてむつが言うと、颯介は曖昧に頷いてみせた。だが、その反応からして全くもって、話を聞いていなかったのだろう。むつと祐斗は、苦笑いを浮かべていた。
「どう?体調あんまりよくないなら、また今度。社長が居ない時に、こっそりやってもいいかなって思ってるけど」
あくまでも山上は抜きでやりたいのか、むつは次の社長の休みはいつだったか、とすぐにパソコンをいじって確認していた。そんな姿を見ながら、颯介は少し笑っていた。
「それで、どう…?無理には誘わないよ。でも、そのうちに皆で鍋したいけど」
「あぁ…うん、今日は…また今度でもいいかな?」
「勿論。また今度にしよっか…」
そうは言っても、むつは少し残念そうな顔をしていた。祐斗も残念に思っているようで、眉尻を下げていた。